空き家の潜むなにか
仕事仲間の達也君から聞いた話です。
彼は時々、「この仕事嫌になった」と言って、いきなり異業種に転職するのですが、暫くするとまた、この仕事に戻ってくるという、面白い子です。
しかも、達也君は、幽霊とかお化けとか、大嫌いなんです。
これは、達也君が内装業に就職していたときのお話です。
空き家で起こる不思議
この間、辞めてきた就職先は、専門学校の先輩が家業を継いだ内装業の会社だったんですよ。
最初にちょっと、零細でブラックかも、とか言われたけど、いやいや、もとの職場ほどブラックじゃないでしょうって。連日締め切りに追われて床では寝ないだろうと。
でもさ、内装業っていうか、他人の家って怖くないですか?
マジ怖かったんですよ。あの一軒家。
ある日、先輩でもある社長が俺に、ちょっと一緒に来いって言ったんですよ。
とある、古い一軒家のリフォームを任されたんで、今日は、間取り図と照らし合わせながら、部屋を見てみないとって言って。
で、社長と、俺が、その依頼主の所有する物件に行ったわけなんですよ。
一軒家のリフォームの依頼主は、他県に住んでいるっていうんで、ほとんど丸投げ状態で、後は、やっておいてねって感じで、任されちゃったらしいんですよね。
で、その物件っていうのは、ここ最近、競売で手にいれたモノだったそうです。
東京っていっても、郊外にある一軒家で、俺たちは車でそこに行ったんです。
で、預かっている鍵を使って、社長が玄関をあけて、家の中に入ったんだけど、急に足元で、カランという音がした、でかい音で聞こえたから、俺ビビっちゃって。
社長の足元に、なにかがあって、入った時に足で蹴っちゃったみたいなんですよ。
社長が「あっ釘か、、、」って。
錆びてる釘だった。5センチくらいの。
どこから出たんだって、変だなって、以前来た時はなかったって、社長は言ったんだけど、まぁ、小さいものだからって、で、玄関の上がり框に置いておいたんですよ。その釘をさ。
で、社長と部屋に入ったんだけど、鈍い俺でも気持ち悪い家でした。
平屋だったんだ。風呂、キッチン、トイレ、部屋が3つの間取りだった。
社長が変だなって言うから、何ですか?って聞いたら、もらってる間取り図には書いてあるのに、なぜか、押し入れがないんだよなぁって。
言われてみれば確かに、居間とその続きの部屋には押し入れってなかったんですよ。
押し入れがあった痕跡はあるから、多分一回リフォームしてるんじゃないかな?って
で、水回り見なくちゃねって、キッチン見て、トイレ見て、トイレはちゃんと洋式だったよ。
で、風呂場見ようって、風呂場行ったんだけど、古い浴槽で、暗くてやっぱ怖かった。
怖いっすねって話しかけても、社長が黙ってるから変だなって思って、社長みたら、手になんか持って、動きが止まってたんですよ。
何持ってたと思います?長い髪の毛の束!まじ悲鳴っす。おれ。
ハウスクリーニングしてから競売に出すよな?って
社長が髪の毛見つめながら言うから、俺わかんないっすって答えました。
そうしたら、風呂の入口の方からカランって音がしたんですよ。
で、気になるって、社長が風呂の入口、中から開けたんですよ、そしたら、また、錆びた釘が、ころがってたんですよ。
同じ釘っすか?って聞いたら、そんなわけあるかって。
でも、なんか、背中がヒュッってなった。
で、釘は浴槽の中に入れて置いて、次の部屋に行こうって。
で、一番奥の部屋に行ったわけなんですよ。間取り図見ながら。
で、さぁ、そこだけ押し入れがあるんです。気持ち悪かったなぁ。
なんか、まじ気持ち悪かった。
でも、ああいう時って、好奇心ていうの?俺がお馬鹿なの?
押し入れを開けてみたんですよ
どうしても見たくなっちゃって。馬鹿だよね。
開けましょうか?って、俺が言ったら、社長が、おう見てみようぜって
ガラって開けたら、普通の押し入れ、中には何もなかった。ちょっとビビり過ぎてたかもって、一旦、俺ら笑っちゃって。
で、閉めようとしたら、社長がちょっと待てって言うんですよ。
押し入れの下の壁が変だゾって。
古い家なのに、壁面新しめだし、なんか寸法おかしいぞって。
俺は、なに言ってるの?社長って思った。
言われてみても、そうなのかなって?別に良いじゃんって。
でも、これからリフォームするんだから、確認しないとダメだって社長が言うから、じゃぁ、どうします?って聞いたんですよ。
社長が、押し入れの下の段に、潜り込んで、変だって言った壁を、コンコンで裏拳で叩いて、なにか確認してたんです。
間取り図を見ながら、やっぱり新しい壁を塗ってるなって、社長が言ってたんです。
そうしたら、また、カランって音がしたんです。
なんかヤダなぁって思ってたら、急にさ、そしたら、社長が俺に、ハンマー持って来いって言うんですよ。
マジやめて!って、ホントマジやめてほしい!
でも、社長命令だから、車までハンマー取りに行こうとしたんすよ。おれ。
で、その押し入れがある部屋を出て、廊下に出たんです、
そこに釘が、落ちてたんです。
風呂場の浴槽の中に置いておいたのに。
奥の部屋出たところの廊下の真ん中に、釘が落ちてんの
え?同じ釘か?!。
なんで?って思って、でも、社長に聞いても、なにも変わらないなって思って釘は避けて、車からハンマー取って来ました。
押入れの中にはなにがあるのか
社長は俺からハンマーを受け取ると、押し入れの下の段に入り込んで、今度はハンマーで壁を叩きはじめたんです。
ガンガン叩いてた。
ボロボロ壁が剥がれてきて
で、一気に壁が崩れたんですよ。押し入れの壁。
で、多分塗り込められてた元の壁が、出て来たんだと思います。
壁一面にね、何か模様みたいのが見えたんですよ。俺には
溝?線?なんていうの、こう、グチャグチャって一面に、壁に模様がついてる感じ。細かいの
そしたら、社長がぎゃーーって叫んで、おれ 怖いけど、社長、置いていけないからどうしたんですか?って
見ろ!達也!これっ!て、社長が叫んでた押し入れの中で。
俺怖いけど、俺も押し入れに入って、見てみた。
社長が指さしてる壁
文字だよ
ビッシリ、壁一面、細かい文字
社長は腰抜かしちゃったみたいで、なんか変なことしか言えてないし。
細かい字で「出して 出して 出して」
「出して 出して 出して」て、ぎっしり壁一面に細かくなんかで彫ってあった。
細かい文字でびっしり「出して 出して 出して」って
出してって出す。出るって字だよ。
俺も叫んだ。すげー大きな声だったと思う
そのまま、わーわー言ってたかも、
社長と一緒に外でて、車まで逃げた。
この物件無理だわって社長が言って、すぐ、所有者に電話してた。
報酬が良い話だけど断るって。
割が合わないって、言ってたんです。
社長は「一度押し入れ、見に行ってから、金要求しろ」って電話叩き切ってた
すげえ良い値段の仕事だったみたい。
後から聞いたら、他の業者も断ったらしかった。
社長は良い人だから、壁の事、所有者に教えてあげるんですかって、馬鹿言え。壁壊した代金払えとか言われたくないわ。
達也君は「あれって、お化けじゃなかったよね、、、」って言ってましたね。
お化けより恐いと思うのですが、あと、1つ、達也君が内装業辞めたのは、この話が原因ではないそうです。